おすすめ漫画技法書
漫画論を語る書籍は数多くあるけれどどれを選べば良いかわからないという方の為に私が読んでおすすめ出来る書籍を紹介するコーナー
私は結構な数読んでいる方ですが、漫画を描くために教材を購入して…って先行投資出来る方は経済的に余裕がないと厳しいですよね。
私は普段サラリーマンなので大人の財力をふんだんに使って自分に先行投資しまくりました。
おかげさまで未だ漫画の収益を上回る大赤字で先行投資は回収出来ていません(笑)
数多くの本を買っていると中にはやっぱり無駄だったなと思う本も少なくないのです。
それもやはり漫画を描き始めたばかりの初心者時代。
ある程度経験を積んでいくと嗅覚と言いますかパラパラっと見ただけで使える本か使えない本かわかるようになってくるんですけどね
初心者時代にはあれも必要これも必要っていって何でも買っちゃうんですよ
売却した本やあまり使わず引き出しの中に眠っている本多数です。
漫画の描き方や投稿レポを検索して私のブログにたどり着いた方は比較的初心者が多いと思うので私の様に無駄な事して欲しくないなーっと思ってすごく良かった物を紹介する訳です。
紙とつけペンだけ用意してとりあえず漫画を描いてみようと思う学生さん
上京してアパート借りてアルバイトしながら漫画を描こうという熱意ある若者
必見です!
まず紹介するのはこちら
荒木飛呂彦の漫画術
著者: 荒木飛呂彦
レーベル: 集英社新書
シリーズ名: 荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】
発売日: 2015年07月31日
出版社: 集英社
「企業秘密を公にするのですから、僕にとっては、正直、不利益な本なのです」と書いてありますね!
この本は私が漫画を描き始めて割りとすぐに購入して読んだ本なのですが正直言ってこれ一冊あれば他の漫画論本は読まなくても良いくらいの勢いです。
これを読めばスタンドパワーが目覚める…事はないですが波紋くらいは使える様になります(嘘)
必要な事は全部書いてあります。
他の本に書いてある内容は忘れちゃっててもこの本の内容だけはしっかり覚えています。
キャラは、世界観は、ストーリーは、デッサンは、
とやらなきゃいけない事は勿論
やってはいけない事
も書いてあるのです。
荒木先生が連載していて失敗したー!という事象も書いてあるのでこの本を読んだ人は「こういうところに気を付ければ良いのか」と予め学習する事が出来ますね。
どこの誰が書いたかわからない本より荒木先生の本は間違いないです。
「漫画学校講師執筆」なんていわれても
「いやお前誰やねん!お前の作品ひとっつも知らんわ!」と思うでしょう?
そういう本とは説得力がまるで違います。
荒木先生が不利益と言うように私にとっても不利益ですが紹介しちゃいました。
あーこれで強力なライバルがまた増えちゃうなー
漫画を描く前に右も左もわからない人は是非読んで見て下さいね。
続いて紹介するのはこちら
藤子・F・不二雄のまんが技法
発売日: 2000年04月
著者/編集: 藤子・F・ 不二雄
レーベル: 小学館文庫(R)
出版社: 小学館
発行形態: 文庫
ページ数: 294p
注記: 『藤子・F・不二雄まんがゼミナール』改題書
こちらは子供向けに漫画の描き方を教えるコラムを編集して纏めた一冊になっているので技術的な部分は対象年齢が低く書かれていると思います。(ひらがなが多いし)
他の本に比べて真新しい技術が載っている訳でもないですしコマ割なんかも今の時代とは合ってないと思います。
基本的な事を分かりやすく丁寧に説明してくれているのでちょっと小慣れてる人には物足りないかなーと。
しかし演出の仕方や『省略』という技を教えて貰えただけでも読む価値はあったかなと思います。
しかしこの本の真骨頂はそこではないと私は思うのです。
この本は壁にぶち当たっている中級者にこそ読んで貰いたい!
具体的にいうと
「漫画が大好きだー!」
「俺が描く漫画は面白い!」
と自信満々に思っていたら
「絵上手い人多すぎやん…」
「世の中面白い漫画が溢れてるんだから別に俺が描かなくても良くない?」
と気分が沈んだり感情の振れ幅が大きい人程読むべきだと思うのです。
藤子不二雄先生もストーリー漫画の生みの親である手塚治虫先生に憧れを持ちながら漫画家やってた訳ですがなんて言ったって何十年もお茶の間で愛されるドラえもんを産み出したのは藤子不二雄先生ですからね
レジェンドですよ
アトムやブラックジャックがお茶の間でずっと流れているかというとそうではないので優劣つけるのも失礼かもしれませんがキャラ作りで完全に勝ってるでしょって私は思ってしまうんですね。
で
第9章でそんなレジェンドの漫画に対する熱い想いが語られる訳です。
「え?これ子供向けコラム…だよね?」
と思うくらい漫画が好きという想いと苦悩が語られています。
レジェンドですら自分は天才ではないので常に情報収集しなければいけないというスタンスなので勇気が貰えるのです。
最後第10章、のび太の恐竜を参考にしながら作品解説してくれます。
私が子供の頃遠足のバスの中で流されるビデオといったらほぼほぼのび太の恐竜か美女と野獣でした。
この二作は何回観ても泣きます。
そんな大作のび太と恐竜を理論的に解説してくれる訳です。
スネ夫がこうだからのび太はこういう気持ち、とか
こうやってあの感動の話は作られているのかと考えると感慨深いものがあります。
悩んでる人、落ち込みすぎて苦しいのに漫画描かなきゃいけないって強迫観念に駆られている人
ひとまず気分転換にこの本を読んでみては如何でしょうか?